ブルーライトで失明のリスクが高まる⁉️ スマートフォンの光に多く含まれるブルーライトをご存知ですか。

スマートフォンからの光のイメージ

ブルーライトで失明のリスクが高まる⁉️

スマートフォンの光に多く含まれるブルーライトをご存知ですか。

網膜に届く可視光線の中でブルーライトは最もエネルギーが強いと言われており、その影響については世界的にも関心が高くなってきています。スマホやタブレットなどを長期に使った場合に網膜が受ける悪影響については解明されていませんが、紫外線など目に入る光の強さや時間は加齢黄斑変性などの網膜疾患にも関係すると言われています。

2018年7月に海外の科学誌『Scientific Reports』に掲載された1本の論文がきっかけとなり、スマホのブルーライトによる視力低下や失明などの影響をめぐって、国内外で議論が巻き起こりました。発端となった論文のタイトルは「Blue light excited retinal intercepts cellular signaling」(ブルーライトで励起されたレチナールは細胞信号を阻害する)。この論文を基にメディアなどで、「携帯電話やタブレットからのブルーライトが失明や視力障害を早める可能性がある」などとする報道が過熱しました。この事態を受けて8月にはAAO( 米国眼科学会 )が「スマートフォンのブルーライトで失明することはない」との声明を学会のサイトに掲載しています。
日本でもネットニュースなどでこの問題はセンセーショナルに取り上げられ、米国眼科学会の声明を基に、「ブルーライトは視力に影響しない」とするような報道も散見さるました。これに対して「ブルーライトは目に全く影響がない」といった誤った認識が広がることを危惧した眼科医のグループであるブルーライト研究会が文書を発表し、警鐘を鳴らしました。

可視光線の中で最も波長が短い380~495nmの青色の光をブルーライトと呼びます。可視光線より波長の短い紫外線は角膜や水晶体で吸収されるため、網膜には到達しないとみなされています。一方、可視光線より波長の長い赤外線も水晶体で吸収されてしまうため、光は波長が短いほどエネルギーが強いため、網膜に到達し視覚情報として利用される可視光線の中では、紫外線に最も近いブルーライトが最も強いエネルギーを持つ光です。

ブルーライトが網膜へ及ぼす影響が世界的に注目されている背景には、タブレット端末やスマートフォンの普及があると言えます。スマホなどのバックライトには、LED(発光ダイオード)が使われており、波長の短い光の割合が高くなっています。スマホやタブレットなどの普及により、光源としての画面を目の前で見るという新しいライフスタイルが誕生しました。こうした日常生活の変化に伴い、以前より多くの光刺激にヒトの目はさらされるようになっています。
現在、日光に含まれる紫外線については、長期的な曝露により「加齢黄斑変性」や「網膜色素変性症」などの網膜疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。加齢黄斑変性は、欧米では成人の失明原因の第1位とされる疾患ですが、加齢に伴い、眼では「リポフスチン」と呼ばれる老廃物が視細胞の働きを助ける網膜色素上皮の下に蓄積します。加齢黄斑変性は、この蓄積したリポフスチンにより網膜色素上皮の萎縮や異常な血管が生じ、目の黄斑部が障害を受けることで起きるとされています。リポフスチンに含まれるA2Eと呼ばれる代謝物質は青色領域に強い吸収特性があり、可視光線による網膜障害の光増感物質(ブルーライトハザード)であるとされています。リポフスチンは青い光が当たると励起され、活性酸素を出す性質があるので、リポフスチンが蓄積した場所にブルーライトが当たると細胞が酸化ストレスで障害されてしまうことも、加齢黄斑変性の一因となっているという説もあります。
太陽光線に比べればスマホなどのデジタルデバイスが発する光のエネルギー量は微々たるものともいえますが、紫外線が加齢黄斑変性のリスクを高めることは既に認められていますので、直接的な害が証明されていなくても網膜に到達しやすいブルーライトの有害性と網膜障害の可能性を意識して、スマホやタブレットをできるだけ眼から離したり、長時間見続けないなどの対策をとる方が良いかもしれませんね。

〈この記事は日経メディカルに掲載された記事を元に一般向けに編集したものです〉

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