眼瞼下垂の手術について
【眼瞼疾患】
眼瞼とはまぶたのことで、眼瞼疾患とは、まぶたの病気のことです。
まぶたが下がる眼瞼下垂やさかさまつ毛の眼瞼内反、いぼなどの眼瞼腫瘍などのことです。
当院では、豊富な執刀実績と眼形成専門知識を要する執刀医が、整容面と視機能面を両立した手術を行っております。なお、美容目的の自由診療ではなく、健康保険が適用となる疾患を対象とします。(なるべく傷が目立たないよう、なるべく自然な仕上がりになるように配慮しておりますが、あくまで機能回復を目的とした手術である事をご理解下さい。)
当院は
- 局所麻酔での日帰り手術です
- 日本眼形成再建外科学会(JSOPRS)に所属しています https://www.jsoprs.jp
当院での手術の特徴
- 当院では普通のメスによる切開の手術の他、出血の少ない炭酸ガスレーザーメスや高周波ラジオメスを使用した日帰りの手術を行っております。
眼瞼下垂
- 上のまぶたが下がってしまう病気です。
- 年齢やコンタクトレンズなどの様々な原因があります。
まぶたを動かす筋肉の力が伝わらなくなる
もともと、健康な人はまぶたの中の筋肉が収縮することで、目を開けることができます。しかし、眼瞼下垂の患者さんは、その収縮の力が瞼板というまぶたを支持する場所に伝わらないため、目が開きにくくなります。
眼瞼下垂の症状
各項目をチェックしてください。眼瞼下垂の方はこのような症状があります。
□ まぶたを指であげると明るく見えて視界が広がる
□ まぶたが重く感じてなかなか開かなく、疲れ目もひどい
□ 眠そうな顔だと言われることがある
□ 黒目が半分ほどしか見えていなく
□ 上を見るときの視野がせまく感じる
□ 二重の幅が以前より広がってきた
□ 上まぶたにくぼみがでてきた
□ ひたいのしわが増えて深くなってきた
□ 眉毛の位置が片方だけ上がっている
□ 肩こりがひどい
□ 目の開きに下図のように左右差がある
当院で対応可能な眼瞼下垂
【退行性(加齢性)眼瞼下垂】
60歳以降に多く、加齢に伴いまぶたを開ける筋肉(眼瞼挙筋群)が薄くなり、挙筋の収縮がまぶたに伝わらなくなることが原因です。
《治療法》
下垂の程度に応じて術式を検討します
【コンタクト性眼瞼下垂】
主に40歳以降に多く、ハードコンタクトを20年以上使用してきた方に多くみられます。
《治療法》
手術は加齢性眼瞼下垂と同様に下垂の程度に応じて術式を検討します。
麻痺性の眼瞼下垂には対応しておりません
術前検査
術前検査でまぶたの筋肉がはずれているかどうかを
確認します。
- 光を目にあててその反射点と上まぶたの距離を測定します。MRD検査といいます
- 眼瞼下垂の患者は眉毛を挙げる癖をもちます。まぶたを押さえて下を見てもらったまぶたの位置から上を見てもらった距離を測定します。挙筋機能検査といいます。
- ドライアイのチェック:眼瞼下垂術後はドライアイが起きることがあります。もしドライアイがある場合は術前に対応をします。ここが眼科でする眼形成と美容形成の違いです!!
MRD Margin Reflex Distance
眼瞼下垂の診断
右の方がMRD短く、二重の幅が広い=眼瞼下垂
挙筋機能検査で術式を決定
眼瞼下垂がある方は、眉を持ち上げることで、下垂の状態を無意識に補正しようとします。眉挙上の影響を除いた挙上機能を正しく計測する必要があります。
ドライアイのチェックも重要
ドライアイを併発している場合には、手術の影響を考慮し、手術量を変更したり、手術後の治療を追加する必要があります。
当院での手術の特徴
- 当院の治療のゴールは、整容面と医学的な視機能面の改善を両立させることです。
- 美容を目的とした手術ではありませんので、整容だけを目的とする手術は自費診療になります。
- 豊富な執刀実績と眼形成専門知識を要する執刀医が手術を行っておりますので、ご相談ください。
当院で施行してる眼瞼下垂術術式
- 瞼板通糸法(経結膜的ミューラー筋タッキング通糸法)
- 眼瞼挙筋(腱膜)縫着術(1cm小切開法にて)
- 眼瞼皮膚切除術:重瞼線切開法
- 眉毛下皮膚切除術
- 重瞼作成術:切開法、埋没法
*上記は同時に複数の手術をすることもあります。また、術後に追加手術をすることもあります。
瞼板通糸法( 経結膜ミューラー筋タッキング法)
- 瞼を挙上する筋肉(眼瞼挙筋)は、瞼の芯にある硬い軟骨状の瞼板につながっています
- 筋肉を切り離さずに糸を使って筋肉をたくしあげるようにして短縮すれば、筋肉を切断して付け直したのと同じ効果が得られます
《手術方法》
- 瞼板通糸法では右の図のように、瞼の裏側から瞼板まで糸を通します
- その後、瞼板から糸を通して瞼の裏側にもどします
- このように糸を往復させてから糸を結んで縛ります
- 糸を結んで縛ると、2つの⭐️の部分が重なるように結び目が移動して、筋肉の短縮効果が出ます
《効果》
- 組織の緩みによって、短縮効果は徐々に弱くなりますが、一定のところで変化が止まり、効果が安定します
- 手術時間は片目約10分で、両眼を同日に行うことも可能です
《合併症》
- 瞼の裏側に糸を通すので、この糸が安定するまで、異物感が残ることがあります
- 瞼の挙上効果のために、もともとあった眼瞼皮膚弛緩が強くなったり、眼瞼内反がおこり逆さまつげが起こることがあります
- まぶたの裏側に固まった膜状の目やにを認めることがあります
《術後の注意点》
- 洗顔やシャワーなどは、手術の当日から行うことが可能ですが、瞼を押さえないように注意してください
- 術後は目やにが多く出ますので、点眼を指示通りに使ってください
- 術後1週間以内に診察を受けて、まぶたの裏側に固まった膜状の目やにの状態を確認します
挙筋腱膜縫着術(小切開法)
- 眼瞼挙筋がはずれていることが原因となるため、元通りの位置に縫い付ける術式です。
- 片眼のみでも両眼同時でも、どちらでも対応します。
- 片眼15〜20分、両眼40分程度です。
《手術方法》
- 二重にする予定の部分を1〜1.5cm程度の長さの皮膚切開を加えます。
- (高齢者や脂肪の多い方の場合は切開範囲が広くなるときもあります)
動画にまとめると下のようになります。ループしています。
- 余分な脂肪がある場合は取り除きます。
- 髪の毛より細い糸で3針程度縫って終了です
*基本的にふたえまぶたを作成します
*比較的低侵襲ですが、重度の症例には対応できないことがあります。
《効果》
- ハードコンタクトによる眼瞼下垂の方で同時に手術をしました。術後驚いたような目にならないように注意し、相談して手術しました。
- 片方だけ年齢のせいで眼瞼下垂になりました。
挙筋がはずれているので、挙筋を修正しました。
《術後の注意点》
- 一時的に皮下出血(青あざ)ができることがあります。およそ数日から数週間で改善してきますが、抗凝固剤や血栓溶解剤を内服されている方やご高齢の方は1ヶ月くらいかかることもあります。
- 低矯正や過矯正になったときは術後時期を相談して追加処置をすることがあります。
- 皮膚のたわみがまだ気になる場合は、余剰皮膚を切除する追加処置をすることがあります。
《術後の生活について》
飲み薬 無くなるまで飲んで下さい。
他院処方の飲み薬も続けて下さい。
眼帯 明日来院されるまで外さないで下さい。
洗顔 1週間目より石けんを使って洗えます。
※ 洗顔できない期間は、クリーンコットン(清浄綿)や 固く絞ったタオル、蒸しタオルで拭いて下さい。
拭く際、眼は強く押さないように注意して下さい。
入浴 本日より首から下のシャワーに入れます。
お風呂は、1週間目より通常通りに入れます。
洗髪 本日より美容院での洗髪(顔にお湯がかからない)は可能です。1週間目よりしっかり目を閉じて頂ければ洗えます。
飲食 食事制限は特にありません。
本日は禁酒です。明日以降は適量でお願いします。
仕事 3日目よりデスクワークができます。
1週間目より外回りのお仕事ができます。
運動 4日目より可能です。 ※ プールは4週間目からです。お散歩程度なら 本日より可能です。
その他 タバコは、本日より食後の一服ができます。コンタクトレンズは、 2週間目より可能です。
《手術費用について》
- 手術費用は、眼瞼下垂症に対応する保険診療です。3割負担の方は薬剤など含めて2万数千円前後です。( 片眼)
また、追加手術・処置が必要となった場合についても同等の保険診療費用が必要になります。