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2025年08月28日
白内障手術は安全性も高く、多くの方々にとっては有益な治療法となりますが、手術の際に目の中に埋め込まれる眼内レンズにはいくつかのデメリットがあります。目のピント調節機能が失われ、眼鏡を掛けないと見づらい距離が生まれてしまうのもその一つです。
この記事では、眼内レンズのデメリットと術後の眼鏡の必要性について具体的に解説します。
多焦点眼内レンズの特徴やデメリットについてまとめた記事はこちらです。
後悔しないために 多焦点眼内レンズのメリット・デメリットについて解説
白内障手術では目の中で白く濁ってしまった水晶体という部分を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入します。
基本的に眼内レンズは生体適合性の高い素材で作られており安全性も高いです。しかし、水晶体と全く同じ働きができるわけではないため、どうしても今までの見え方との差異、デメリットが出てきてしまうのです。
眼内レンズを入れることにより、光の乱反射や色調変化などが発生し、今までとモノの見え方が若干変わってしまうことがあります。
眼内レンズが目の中に入ると、ときに光の乱反射を引き起こすことがあります。術後に「キラキラして見える」「レンズの縁のようなものが見える」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、多くはこれが原因です。時間が経つにつれて慣れてくることがほとんどですので、あまり心配しすぎずに様子を見ましょう。
水晶体に比べて、眼内レンズは短い波長の光(=青い光)を多く通します。このため、手術後は全体的に色が青みがかって見えることがあります。これも時間が経つにつれて慣れますが、片眼だけ手術を受けた場合は左右で色味が違って見える状態が続くことになります。気にならなければそのままでも問題はありませんが、違いが気になる場合は医師に相談しましょう。
若く健康な人の眼の場合、毛様体筋という筋肉が水晶体の厚みを変化させることで遠くや近くにピントを合わせます。しかし、年齢を重ねると水晶体を動かす筋肉が衰え、水晶体の厚みをうまく調節できなくなっていきます。これがいわゆる老眼なのですが、眼内レンズも同様にレンズ自身の厚みを変化させることができないため、白内障の手術後はあらかじめ決められた焦点距離以外にはピントが合わなくなってしまいます。
そして、裸眼でピントが合わない距離に関しては眼鏡が必要になってしまうのです。
基本的に白内障手術では、眼内レンズの度数を近く(30~40㎝)か遠く(約5m)のどちらかにピントが合うように設定します。ピントを合わせた距離は眼鏡を掛けなくても問題なく見えますが、そうでない距離に関してはほぼ必ず眼鏡が必要になります。
遠く用の眼鏡や老眼鏡など、普段から眼鏡を使用している方も多いと思いますが、そのような方であれば手術後も眼鏡を掛けなければならないとしても特に不便を感じることはないでしょう。また、遠近両用の眼鏡を使用しているという方は、掛け外しの少なさなどから手術後も遠近両用にした方が慣れやすいことが多いです。
眼内レンズの特性をしっかり理解せずにピントの合う距離を決めてしまうと、「今まで裸眼で見えていたものが眼鏡を掛けないと見えなくなってしまった」といった不満を抱えてしまう可能性もあります。
このようなことにならないためには、「眼内レンズはピントを合わせた距離以外は眼鏡を掛けないと見えない」ということをしっかり理解することが大切です。
また、術前に裸眼で見えていた距離が見えるように眼内レンズのピントを合わせれば、手術後も同じような見え方、眼鏡の使い方で生活することができます。
例えば、今までの生活では運転するとき(遠くをしっかり見る必要があるとき)は眼鏡をかけて、それ以外は特に裸眼で過ごしていたという方の場合、手元にピントを合わせた眼内レンズを入れると同じような見え方にすることができます。
反対に、今までは遠くの方は眼鏡を掛けずによく見えていて、手元の文字などを見るときには老眼鏡を使っていたという方は、遠くにピントを合わせた眼内レンズを入れるとこれまでの見え方と同じようにできます。
もちろん、絶対にこのように合わせなければいけないというわけではないので、「どうしてもこの距離を裸眼ではっきり見たい」といった希望があれば医師に相談しましょう。
白内障手術の際に目の中に入る眼内レンズには様々なデメリットが存在しますが、あらかじめそういった情報を知っておくことで手術後の生活をイメージすることができ、手術への不安も解消することができます。
また、一般的にはデメリットによる煩わしさよりも眼内レンズを入れるメリットの方が上回りますので、必要以上に恐れず、前向きに手術を検討されることをおすすめします。
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